私(植田)が非常勤をしている花園大学(京都市中京区)で、朝倉台自主防災会副会長の坂口さんをお招きし、授業の一環として防災講演会を開催しました。
ちょうどこの日の早朝、能登半島で震度5強の地震があり、桜井市でも緊急地震速報が鳴り響いて驚いたばかりというタイミングでした。
講演が始まり、被災地の生々しい写真、坂口さんの熱のこもった語り口に、約200人の学生はたちまちのうちに引き込まれました。そして、『日本書紀』に記された「白鳳地震」に始まり、現在に至る多くの自然災害、被災地の状況を教えていただき、いかに日頃からの防災が大切なのかを、学生は思い知ることになりました。
たいへんなショックを受け、心を痛めた学生もいました(学生の感想カードから)。
・「津波に襲われた大川小学校(宮城県石巻市)。判断ミスで未来がある多くの子どもの命を 失った。これは人災だ!と聞き、とてもしんどい気持ちになった」
・「最初から最後まで、ずっと鳥肌が立つほどの恐怖や焦りを感じた」
・「身近な人を亡くす心の痛みはとてつもないもの。その痛みを知った」
しかし、多くの学生は、防災への意識を高め、心を新たにしました。
・「災害は人間には止めることができない。だからこそ災害が起こる前にきちんと備えてお かなければならない。災害が起こった後にも命を落とすことがいくらでもあるから、日頃 からの意識はとても重要だ」
・「若い世代が、防災含めたくさんの面で、地域を支えなければならないと思った」・「自 分が危なくなる可能性があることを理解して、それでも力になりに行くかっこいい人がい るんだな。自分もこんな考え方ができたらいいなと思うことができた」
・「自分以外の人を助けるためにも、まず家族と決めごとをしておくことで、周りに目を向 ける余裕が生まれるのではないか」
・「講演タイトルにあるように、“相手は自分自身!”。いかに深く関心をもって行動するか が大切だ」
学生が学ぶ教科書には、災害発生後の支援の流れしか書いてありません。いかに平常時の防災、またそのための地域づくりの支援が大切であるか、それを学生に学んでほしいという私の願いがありました。
阪神淡路大震災後の復興支援に入られた経験、自主防災会立ち上げ後、28年間、その活動を牽引してこられた坂口さんのお話は、私の願いに応えていただいたとともに、多くの学生にとって、防災に対する意識改革、特に“自助”“共助”の大切さを学ぶ機会になりました。
坂口さん、本当にありがとうございました。
(文責 植田)