今回の防災研修会は大阪府柏原市と王寺町との県境にあります通称「亀の瀬 」と呼ばれる県境の谷間に行ってきました。
奈良盆地の156本もの多くの川全てが「亀の瀬」一カ所に集まり大阪湾に流れる大和川は、奈良県にも大阪府にとっても重要な位置になります。
南北を生駒山地、金剛山地に挟まれた亀の瀬は狭い渓谷で、「ボトルネック」(瓶の首)といわれる川幅20mの狭い箇所があるため、日本各地で発生する「線状降水帯」が、もし、奈良盆地で発生し大雨を降らすと大和川流域は大水害が予想されます。
地質調査では4万年前から度々地滑りを繰り返しており、最近では昭和6~7年と昭和42年に大規模な地滑りが発生しております。
これを受けて国では、総工費約900億円かけた地滑り対策事業をし、現在でも年間25mプール128杯分の地下水を吸い取り大和川に放出し、常に地滑り異変が発生しないか24時間体制で国土交通省が監視しています。
「砂掛け祭り」で有名な河合町の「廣瀬大社」は、日本書紀によると、天武天皇は風を司る龍田大社と水神の廣瀬神社を2社1対のお社として、国家安泰、五穀豊穣を祈願されたという。
廣瀬神社西側を流れる細い川幅の「不毛田川」(ふけた)は、大雨時、大和川の水位が上がると内水氾濫が起きないよう「不毛田水門」を閉じる。
そうなると、不毛田川の水が行き場を失い、度々、神社参道まで水浸しの被害になっていた。また、「57水害」として今も語られる昭和57年の大和川の大水害では、王寺町一帯が大水害に見舞われ、平成29年の台風21号では、斑鳩町に24時間降雨量が300mmとなり大和川流域に広範囲な内水氾濫の大被害となった。
奈良県は、大和川流域「遊水地整備事業計画」の中で、廣瀬神社を挟む東側「保田地区」と西側「不毛田地区」の遊水地工事に着手しておりの現地を視察しました。
大和川の源流になる初瀬川近くに住む私たちは、今回の研修で改めて大和川の水害についても多くを学びました。
桜井市危機管理課職員の皆さま、国土交通省近畿地方整備局大和川河川事務所亀の瀬出張所他多くの関係者皆さまにも大変ご協力を頂きました。厚く御礼申し上げます。(坂口)